最新の研究成果

四肢皮膚悪性腫瘍に対しての静脈皮弁による再建が腫瘍学的にも整容的にも優れた結果に

2022年5月24日

  • プレスリリース
  • 医学研究科

本研究のポイント

◇これまでは悪性腫瘍に対する使用が少なかった静脈皮弁による再建が、腫瘍学的にも整容的にも優れた結果をもたらした。

概要

大阪公立大学大学院医学研究科 形成外科学の出口 綾香病院講師、元村 尚嗣教授らの研究グループは、形成外科医による四肢皮膚悪性腫瘍切除および静脈皮弁再建術の有用性を明らかにしました。本研究成果は、皮膚悪性腫瘍患者において適切な切除?再建を行えば四肢や術部の温存は可能であることを示唆しています。

四肢は皮膚悪性腫瘍の発生が比較的多く、従来は根本的治療として切断術が行われることも少なくありませんでした。近年、癌といえども根治性に加えて整容性も重要視すべきであるというOncoplastic Surgeryなる概念が叫ばれるようになりました。さらには、治療方針も徐々に進化し、適切な切除と再建のための新しい技術も登場しました。しかしながら、四肢皮膚悪性腫瘍に対して、腫瘍学的?整容的に配慮した治療、すなわちOncoplastic Surgeryによる治療の有用性については報告されていませんでした。

今回、本研究グループは、四肢皮膚悪性腫瘍に対して患側とは対側からの静脈皮弁による再建を13例施行しました。その結果、全症例で腫瘍学的にも整容的にも優れた結果をもたらすことが示されました。本研究結果は、腫瘍学を熟知したマイクロサージャンによる四肢皮膚悪性腫瘍治療が、四肢温存?整容性維持に繋がる可能性を示しています。

本研究は米国科学誌『Plastic and Reconstructive Surgery-Global Open』に掲載されました。

研究者からのコメント

私たち形成外科医は、悪性腫瘍を扱う際に、Oncoplastic surgeryという概念を重要視しつつ、可能な限り低侵襲かつ安全な手術を心がけて、今後も患者のquality of life向上のためにより良い外科的治療を提供していきたいと思います。

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出口 綾香病院講師

掲載誌情報

雑誌名:

Plastic and Reconstructive Surgery-Global Open

論文名:

Venous Flap Reconstruction following Wide Local Excision for Primary Cutaneous Malignancies in Extremities

著者:

Ayaka Deguchi, Hisashi Motomura, Takaharu Hatano, Heishiro Fujikawa, Shusaku Maeda

掲載DOI

https://doi.org/10.1097/GOX.0000000000004220

プレスリリース全文 (240.6KB)

研究内容に関する問合せ先

大阪公立大学大学院医学研究科 形成外科学
担当:出口 綾香
TEL:06-6645-3892
E-mail:ayakanochi[at]omu.ac.jp
[at]を@に変更してください。

取材に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:上嶋 健太
TEL:06-6605-3411
E-mail:t-koho[at]ado.osaka-cu.ac.jp
[at]を@に変更してください。

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