最新の研究成果
理学研究科 三浦 大助教授と産業技術総合研究所が共同作成した「恵山火山地質図」が完成
2022年4月12日
- 理学研究科
本学大学院 理学研究科 地球学専攻の三浦 大助教授(地域防災センター兼務/所長:伊藤 康人教授)らと産業技術総合研究所(以下、産総研)の共同研究成果をもとに作成した「恵山火山地質図(産総研火山地質図no.21)」が完成しました。本地質図は、今後、火山防災の基礎資料としても有効活用されることが期待されます。
産業技術総合研究所Webサイト: https://www.gsj.jp/Map/JP/volcano.html
研究内容
刊行された「恵山火山地質図」の一部
恵山火山は、北海道渡島半島の南東端に位置し、歴史文書による噴火記録があまり残されていません。このような火山では、火山噴出物を調べて噴火の記録を明らかにする地質学的研究が大きな役割を果たします。恵山火山では、これまでにもいくつかの地質学研究が行われており、それらの先行研究を踏まえた上で、層序に基づく既存年代値の再検討、広域火山灰の対比、系統的な年代測定を行いました。マグマ噴火と小規模噴火の噴出物を詳細に調べた結果、およそ1万年の間に1回のマグマ噴火と15回の小規模噴火が起こったことが明らかになりました。
研究背景
火山地質図は、活火山(111火山)の噴出物の分布と順序を調べ、火山噴火の特徴を明らかにして火山災害の基礎資料とするものです。これは、火山の防災計画立案のためにとても重要な基本図ですが、火山噴火予知連絡会が選定した「火山防災のために監視?観測体制の充実等が必要な火山(50火山)」の中でも未だ半分以下の火山でしか作成されていません。
2014年の御嶽山噴火により、水蒸気噴火などの小規模噴火であっても、深刻な災害をもたらすことが明らかとなりました。恵山火山では、1846年及び1874年に起こった小規模噴火の際に降灰と土石流を発生させた可能性が指摘されているほか、現在も活発な噴気?地震活動が継続する爆裂火口をもっていることから、今後も噴火を繰り返す活火山であると考えられています。この爆裂火口の周辺には、学校、温泉、漁港などの居住地区が近接していることから、気象庁による地震計、傾斜計、空振計、GNSS(注1)、監視カメラを用いた火山活動の監視?観測が実施されており、2016年3月23日14時00分発表の噴火予報(恵山)より噴火警戒レベルの運用も開始されたことから、防災に資する地質情報の整備が急務でした。このような背景から、今回、21番目の火山地質図として「恵山火山地質図」を刊行することとなりました。
(注1)GNSS:(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)
米国のGPS、日本の準天頂衛星(QZSS)、ロシアのGLONASS、欧州連合のGalileo等の衛星測位システムの総称。
お問い合わせ
大阪公立大学大学院理学研究科
教授 三浦 大助(みうら だいすけ)
Tel :072-254-9734
Eメール:miura[at]omu.ac.jp [at]の部分を@と差し替えてください。
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