「リビング子ども大学2019」リポート
- 2019/09/12
- 子どもの習い事
- 学校?幼稚園?保育園
リビング 子ども大学2019リポート
- 講 師
- 中本有紀さんら女性技術職員のみなさん
- 参加者
- 小学校4~6年生の子どもと保護者25組50人
今年初めてイベント協力をいただいた、大阪大学。冒頭、理事?副学長で、ダイバーシティ&インクルージョン推進担当の工藤 眞由美先生が、大阪大学の紹介と女性技術職員さんの研究や仕事について説明してくれました。
午前中は、子どもたちが家庭から持参した空のペットボトル(500cc)を使った顕微鏡づくりです。
子どもたちは、世界の科学者にちなんだ「ガリレオ」「ニュートン」「キュリー」「北里柴三郎」「ハンス?ヤンセン」の5班に分かれます。
顕微鏡の仕組みや歴史紹介の後、実際に顕微鏡を制作。
ペットボトルをカットしたり、レンズを取り付けたり。プレパラートもペットボトルから作ります。よく観察できるように、LEDを使った電子回路を組み込みますが、LEDが光るように回路をつくるには、抵抗?LED?ジャンパーワイヤーをどのようすればいいのか、その回路を書いてみるなど、ちょっぴり難しい工程も。子どもたちは保護者と協力して着実に“自分だけの顕微鏡”を作っていきました。
完成した顕微鏡で、タマネギの皮やバナナの筋などを薄くスライスして観察。結構よく見えるのに驚きです。
また、めいめい自宅から持ち込んだ、“観察してみたいもの”を観察。お札や野菜、羽毛などをデジタル顕微鏡でより倍率を上げて観察すると、子どもたちから「すごい!」と歓声が上がりました。
お昼休憩では、大阪大学の学生食堂でランチ体験を楽しむ親子も。“初めての学食”メニュー、どうだったでしょうか。
午後からは、5班に分かれて、研究室を巡ります。
ナノテクノロジー総合研究棟では、非常に貴重な電子顕微鏡や光学顕微鏡での観察体験。肉眼では見えない硬貨に埋め込まれた文字を見つけたり、つくしの胞子や貝殻を10万倍に拡大してみたりと、不思議な顕微鏡ワールドに浸りました。
- 講 師
- 中村太郎教授、大学技術職員チームSMTS
- 参加者
- 小学1~6年生の子どもと保護者29組58人
白衣を身に着けた子どもたちは、まず全員で記念撮影。大きな実験室で、ふりこウェーブの実験工作が始まりました。
ふりこの「周期」や「支点」などの意味を、わかりやすく教えてもらったあと、ストップウォッチを使って、「周期」を測ってみることに。おもりの重さやふりこの長さによって変化するのかどうかを予想してから、実際にふりこが10往復する時間を測って答えを確認しました。
続いては、「ふりこウェーブ」の工作。それぞれ長さの違う10本の糸にビー玉を通していきますが、長さを正確に測るのがポイントとあって、親子で力を合わせて作業を進めます。
完成した「ふりこウェーブ」の10個のふりこを同時に動かすと、だんだんばらばらになったり、何個かずつそろったり、揺れ方がさまざまに変化します。何度も揺らして、その動きに見とれていました。家でも楽しめるように、固定の仕方も教えてもらいました。
後半は、6つの実験を体験するスタンプラリー。地下1階から4階まで、4つの実験室を移動してスタンプを集めました。
【スタンプラリーの実験内容】
◆海水の秘密/地球学実験室
◆音を見てみよう/物理学大実験室
◆ダンゴムシの観察/生物学大実験室
◆シャボン玉実験/生物学大実験室
◆液体窒素実験/化学大実験室
◆ガラス細工/化学大実験室
最後は、体験したことの復習をしてゴール。答え合わせをしてもらい、スタンプを押してもらって、満足そうな笑顔に。
「ふりこウェーブ」や作ったガラスのマドラーに記念写真など、たくさんのお土産もいただきました。
- 講 師
- 若林宏輔准教授、上宮愛特任助教
- 参加者
- 小学校4~6年生の子どもと保護者28組56人
午前中は、若林宏輔先生による、心理学を応用した”目撃証言”にチャレンジ。
まず、保護者と子どもは別々の部屋に分かれ、子どものみ2~3人のグループで「少年探偵団」を結成します。
その頃、保護者のいる部屋では、若林先生による企画趣旨の説明が行われていますが、何やらスタッフ数人が入れ代わり立ち代わり、不審な動きを始めます。そして気が付いたときには、先生の大事な物が盗まれてしまいました!
ここで子どもたちと保護者が合流。そこで起こったこと、だれが犯人なのかを突き止めるために、少年探偵団から事件の目撃者(保護者)への聞き込みが始まりました。
聞き込みの結果、めいめい犯人像をスケッチブックに書き起こし、グループごとに発表会を実施。犯人像が絞られ、数人の容疑者の中から1人が「犯人では?」と疑われる結果に。そののち、何が起こったかを防犯カメラで確認してみると、そこには多くの探偵団が推理した人物とは異なる犯人が映っていました。
目撃者それぞれの意見を集めると、あまり覚えていないこと、勘違いしていること、また、確信は持てないけれど、探す側には重要に思える意見などが集まってきます。そのような意見でも、数が集まると「真実」に見えてくることがあるのです。“冤罪(えんざい)”が起こる仕組みを、身をもって体験することができました。
ここでお昼休憩。立命館大学の学生食堂でめいめい食事を楽しみました。
午後からは、上宮愛先生による“虚偽検出”。上宮先生から“嘘”についてレクチャーを受け、子ども?保護者とも2人1組となります。ここで、子どもたちは保護者とは別室へ。嘘を見破る方法について話し合います。
保護者のいる部屋では、保護者2人のうち、1人は嘘をつき、1人は本当のことを言う、という役割で子どもたちの追求に応えます。子どもたちはペアで、どちらの保護者が嘘をついているか、を相談し合います。そして出た答えは???!
なんと、嘘と見抜けたのは、28組中2組のみという結果に! 保護者の圧勝となりました。
上宮先生は「人を傷つけたり、自分のことだけを考えてつく嘘はもちろん悪いことですが、人間は、コミュニケーションの道具としても嘘を用いることがあります。例えば、本当はヘアスタイルが似合っていないと思っても、その人を傷つけたくなくて“ステキ”と言ってしまうこと、ありますよね? 他者との関係を守るために嘘をつくのは人間だけ」と解説。“司法面接”を研究している上宮先生。「嘘を100%見破る方法はありませんが、例えば、できるだけたくさんしゃべらせる。映像があると見破りやすくなります」と教えてくれました。
- 講 師
- 久保田佳基教授、河相武利准教授、増田昇センター長
- 参加者
- 小学3?4年生の子どもと保護者25組50人
最初は、「光」について学びます。
久保田先生と河相先生が、水槽を通してプロジェクターの光を投影すると、天井に虹のような七色の光が生まれました。おーっというどよめきと共に、保護者の方が写真をパシャリ。光は、プリズムを通すと、七色に分かれることを実感しました。
次は、厚紙を切って「簡易分光器」作りにチャレンジ。難しいところは、保護者の方がアドバイスしながら仕上げていきます。
ボックスの中では、細いスリットから入った光が、「回折格子シート」を通して七色の帯になっているのが見えます。光の種類によって見え方が少しずつ違うと教えてもらい、窓からの光や蛍光灯の光などを見比べていました。
午前の締めくくりは、「電波」について。
全員で屋上に上がって、2台の大きな電波望遠鏡を見学。宇宙の観測や研究に利用しているお話を聞きます。
さらに、電波を遮るものと通すものについて、パラボラアンテナとテレビで実験。金網は? 発泡スチロールは? このノートは? 麦わら帽子は?と、さまざまなものをアンテナの前に置いて、テレビが映るかどうか、みんなで交互に確かめていました。
昼食を挟んで、午後は、人工光型植物工場を研究している植物工場研究センターへ。ここでは、府大ブランドのレタス「府大マルシェ」が1日6000株も育っています。
増田昇センター長に、植物工場の仕組みや特徴をレクチャーしてもらったあと、グループに分かれて見学ツアーへ。工場内は夜の時間帯(暗期)のため、残念ながら収穫風景は見られませんでしたが、苗が並ぶ研究室を案内してもらい、見学後には、保護者と子どもの両方から、熱心な質問が寄せられていました。
講座2 肺呼吸の模型作りと医療機器見学
- 講 師
- 講座1 齋藤祥乃教授(看護学科)
講座2 桜井篤教授(臨床工学科) - 参加者
- 講座1 小学4~6年生の子どもと保護者18組36人
講座2 小学5?6年生の子どもと保護者17組34人
講座1では、齋藤先生が、スライドを使って胎児の成長過程について解説。赤ちゃんが産まれてくる時に、自ら体を回転させて出てくる不思議な仕組みについて学びます。そのあと、本物そっくりの赤ちゃんの人形を使って看護を体験しました。
まずは「バイタル測定」です。見た目や重さも、本物の赤ちゃんそっくりな人形の胸に聴診器をあてると、「ドクッドクッ」と心音が。まだ心臓が未成熟な赤ちゃんの脈は、成人の2倍くらいの数だそうです。「結構速いね!」とビックリしている人も。
「沐浴」では、小さな水槽で、赤ちゃんの全身をキレイに洗います。皮膚がうすくて弱いので、「タオルでやさしく包み込むように拭いてあげてね~」と先生。最初はおそるおそるだった子どもたちも、少しずつ抱っこが上手になりました。
また、赤ちゃんがのどにモノを詰まらせたときなど、緊急時の対処法も、人形をつかって学びました。みんなの取り組む顔も、真剣そのものです。
講座2では、人間の肺呼吸の仕組みを教わり、肺の模型作りを行います。まずは、肺の構造や動き、呼吸の仕組みについてスライドで勉強。筋肉を持っていない肺が、膨らんだり縮んだりする仕組みを、注射器の中に入れた水風船が、注射器のピストンにあわせて膨らんだり縮んだすることで確認できました。
つぎは各自で模型作り。容器に風船を取り付け、横隔膜のかわりのシリコンゴムのシートを張りつけて、空気が入らないようフタをします。フタを押したり引いたりすると、中の風船が膨らんだり縮んだりする様子を、みんな楽しそうに観察していました。
その後は、教室を移動して医療機器の見学へ。「バイタルサインモニター」を使って、自分たちの心電図を測ってみます。人工呼吸器を使って空気を吸う体験も。みんなとても器用に、人工呼吸器での呼吸ができたので、教えてくれた先生も驚いていました。
第1部?第2部とも、最後に実施されたキャンパスツアー。リハビリ室(体に障がいが生じた人が、生活をもとの状態に戻すためのリハビリテーションを行う部屋)を見学したり、学生さんや職員さんが利用するキレイな食堂も見せてもらったりして、ツアーは終了となりました。